ブレイブブロッサム
イギリスの新聞が3勝しながら大会を去った日本チームを『W杯の損失』と惜しんだように、素晴らしい価値あるものを見せてもらった。
帰国記者会見をみても、どの選手も素晴らしい言葉と態度で、ほれぼれする。
ジャパンウエイとは、監督のすばらしさもあるが、国民性としての勤勉さがものを言った。コツコツ、刺繍も野菜作りも仕事も・・・
http://www.top-league.jp/game/2015/schedule.html
生のラグビーが見たいと思ったのでした
ラグビー初心者に捧ぐ・ワールドカップの楽しみ方
イングランドで行われているラグビー・ワールドカップ(RWC)で、日本代表が世界3強の一つである南アフリカを34-32で大金星を挙げ、世界中を驚かせました。
日本でも大々的に取り上げられ、ニュースやワイドショーでの話題を席巻したのはご存知の通り。
それまでは、ラグビーのワールドカップが行われているなんて、知らなかった人も多いのではないでしょうか。
そして「ルールはよくわからないけど、ラグビーってなんだか面白い!」と思った人も多いと思います。
日本代表は第2戦でスコットランドに残念ながら10-45で完敗しましたが、まだ決勝トーナメントに進出する可能性は残っています。
では、今までラグビーなんか見たことがないという人のために、ラグビー・ワールドカップとはどんな大会なのか、簡単に説明したいと思います。
【ラグビー・ワールドカップの歴史】
ラグビー・ワールドカップは、規模や観客動員、世界中のテレビ視聴者数から考えて、その規模はサッカーのワールドカップや夏季オリンピックに次ぐ、世界第3のスポーツ・イベントとさえ言われています。
先日の日本×南アアフリカでも、開催国のイングランドとは関係ない試合なのに、超満員の観客が詰めかけていたのを見て、驚かれた人もいるかと思います。
ラグビー・ワールドカップとは、それだけ注目された、権威のある大会と言えます。
2019年、次回のラグビー・ワールドカップが日本で開催されるのはご存知でしょう。
この大会が日本で行われるのは、実に光栄なことなのです。
そして、いわゆるラグビー強国以外での開催は、次回の日本大会が初めてです。
2002年に行われた日韓共催のFIFA(サッカー)ワールドカップは、日本戦以外でも超満員の観衆を集めました。
2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会も、日本戦に関係なく大いに盛り上がって欲しいものです。
ところで、ラグビー・ワールドカップが始まったのはいつ頃なのでしょうか。
それは、1987年(昭和62年)のことです。
サッカーのワールドカップが初開催されたのは1930年(昭和5年)ですから、なんとラグビーの方が57年も歴史が浅いということになります。
なぜこんなに歴史的な差があるのでしょうか?
それには深い理由があります。
元々はラグビーもサッカーも、イングランドで行われていた同じ競技(フットボール)でした。
それが19世紀中頃(日本で言えば江戸時代末期)、伝統的なフットボールを守ろうとするラグビー派と、ルールを統一して各地にフットボールを広めようとするサッカー派に枝分かれしていきました。
ラグビー派は今までのフットボールと同じように手の使用を認め、サッカー派はルールを簡素化するために手の使用を禁じていく方向になりました。
ちなみに、サッカー(soccer)とはアソシエーション・フットボール(Association Football)の略で、日本とアメリカ以外ではあまり使われません。
世界中のほとんどの国では、単にフットボールと呼びます。
ラグビー(Rugby)とは、伝統的フットボールを守ろうとしたのはラグビー校が中心だったので、その名が付けられています。
ルールを統一したサッカーは各地に広まり、選手権大会を開催しました。
つまり、どのチームが一番強いかを決める大会です。
さらに、プロ化されたのも早く、プロとアマの交流も認められていました。
要するに、世界一を決めるワールドカップが誕生する土壌が既にあったのです。
一方のラグビーは、選手権の方向には進みませんでした。
チーム同士の対抗戦を重視し、どのチームが一番強いか、という発想は度外視されたのです。
ラグビー発祥の経緯を考えると、ルールの統一よりも伝統的フットボールを守る方向に動いたのですから、無理に最強チームを決める必要がなかったことも頷けます。
もっとも、各チームでルールがまちまちだと支障をきたすので、結局はルールを統一せざるを得ないようになりますが……。
そして1871年(明治4年)、日本ではようやく文明開化の波が押し寄せてきた頃に、イングランド×スコットランドというラグビー史上初のテストマッチが行われました。
サッカーでテストマッチと言えば、単なる調整試合のように扱われますが、ラグビーでは(クリケットでも)意味が全く違います。
ラグビーにおけるテストマッチとは、国代表チーム同士による、まさしく真剣勝負なのです。
テストマッチに出場した選手にはキャップ(帽子)が与えられ、これがラガーマンにとって最高の栄誉とされます。
このキャップ制度は現在でも続いており、ラグビー中継を見ていても「○○選手は15キャップを得ています」という実況を聞きますが、これは「テストマッチに15試合出場した」という意味なのです。
ラグビーはやがて英連邦を中心に、世界中に広がりました。
そして、ラグビー強国8ヵ国によるインターナショナル・ラグビー・フットボール・ボード(IRFB)が結成されたのです。
その8ヵ国を記してみます。
フランス
オーストラリア
こうして見れば、フランス以外は全て英連邦であることがわかるでしょう。
そして、サッカー同様ラグビーでも「イギリス」という国は存在せず(オリンピックを除く)、イングランド、スコットランド、ウェールズに分かれています。
サッカーと違うのはアイルランドで、サッカーでのアイルランドとはアイルランド共和国を指し、イギリスの一部である北アイルランドは別チームとなりますが、ラグビーにおけるアイルランドはアイルランド共和国と北アイルランドの合同チームです。
つまり、ラグビーでのアイルランドとはアイルランド島のことで、アイルランド共和国とイギリスの一部(北アイルランド)の2ヵ国から成っているわけですね。
よく、ラグビーの日本代表は外国人選手が多すぎる、という意見を聞きますが、こういう歴史が関係しているのかも知れません。
つまり、ラグビーは国籍主義ではなく、協会主義なのです。
一定のの条件を満たせば、その国の代表選手になれるし、その選択権は選手にあります。
日本代表だけが外国出身の選手が多いわけではなく、各国の代表にも外国籍の選手が多く存在します。
日本代表が第2戦で敗れたスコットランドだって、日本代表を超える12人がスコットランド外の選手です。
たとえば、日本代表キャプテンのリーチ・マイケル選手(東芝ブレイブルーパス)は、ニュージーランド出身ながら、日本の札幌山の手高校に留学し、日本国籍を取得しました(日本国籍を取得する前の名前はマイケル・リーチ)。
リーチ選手は世界最高峰のニュージーランド代表(オールブラックス)になる夢を抱いていましたが、敢えて日本代表への道を選んだのです。
しかしリーチ選手は日本代表になったため、今後はルール上、夢にまで見たオールブラックスの一員になることはできません。
それほどのリスクを冒してまで、リーチ選手は日本代表の道を選んだのです。
話を元に戻すと、ラグビーでのテストマッチは、主にこの8ヵ国によって行われ、特に世界最強を決めるわけではなく「この国とあの国のテストマッチではこの国が勝った。だから、今年の世界最強はこの国だろう」という程度の認識だったのです。
ちなみに日本はIRFBの準加盟国という扱いで、加盟国と試合を行ってもテストマッチと認められることはほとんどありませんでした。
たとえば、1989年(平成元年)に日本代表はスコットランドを28-24で破り、IRFB加盟国から初勝利を挙げました。
しかし、テストマッチ扱いしたのは日本協会だけで、スコットランド協会は「ベストメンバーではなかった」という理由でテストマッチとは認めなかったのです。
だから、この試合に出場した日本代表の選手には日本協会からキャップが贈られましたが、スコットランドの選手たちはスコットランド協会からキャップを得ることはできなかったのです。
つまり、当時はテストマッチと認定するかどうかは、各国の協会に任されていました。
でも現在では、IRFBは解体され、ワールド・ラグビー(WR)という世界統括団体が認めた試合に限りテストマッチと呼ばれています。
ちなみに、ワールドカップの試合もテストマッチの一種であり、試合に出場した選手にはキャップが与えられます。
ラグビーではテストマッチ至上主義でしたが、世界的な広まりを見せるにつけ、世界一を決める大会、即ちワールドカップを開催しようではないかという機運が高まりました。
しかし、一部のIRFB加盟国は、
「ラグビーは一つの大会で最強を決めるようなスポーツではない。それに、ワールドカップが開催されるとアマチュアリズムが崩れる」
という理由で反対しました。
そう、この時点でラグビーにプロフェッショナルはなかったのです。
ラグビーには、今ワールドカップが行われている15人制(ラグビー・ユニオン)以外にも、早くからプロ化した13人制のラグビー・リーグが存在しますが、ラグビー・ユニオンはアマチュアであるべき、という思想が根強くありました。
それでも、IRFB加盟国による多数決でワールドカップ開催が決まったのです。
そして前述のとおり1987年、ニュージーランドとオーストラリアの共催で第1回ラグビー・ワールドカップが開催されました。
ラグビー・ワールドカップは回を重ねるごとに隆盛を極め、アマ継続派が危惧した通り1995年の第3回大会を最後に、遂にプロ化が容認されたのです。
ラグビー(ユニオン)がプロ化された後、競技レベルは格段にアップしました。
しかしその反面、ワールドカップ至上主義になってしまい、かつては最高の戦いとされたテストマッチが、単なる親善試合のようになってしまったような感も否めません。
各国がワールドカップでの戦いを有利に進めるために、メンバー落としを行ったり、たとえ負けても手の内を見せないような戦いぶりになってしまったのです。
それでも、テストマッチに出場すればキャップを得られるという名誉に変わりありませんが。
それに、ヨーロッパの伝統あるシックス・ネーションズ(イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、フランス、イタリア)や、南半球のザ・ラグビー・チャンピオンシップ(ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチン)では、各国がプライドを賭けた真剣勝負のテストマッチを繰り広げています。
そして、ワールドカップがもたらした効果と言えば、旧IRFB加盟8ヵ国を脅かす国が多く現れたことでしょう。
それでも、南半球の優位は動かず、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカが各2回の優勝を果たしており、ラグビーの世界は「南高北低」ですが。
北半球で唯一の優勝経験があるのは、ラグビーの母国イングランドで、2003年の第5回大会で初優勝しました。
今大会のイングランドは2度目の母国開催なので、ぜひとも優勝したいところでしょう。
ここで、旧IRFB加盟8ヵ国を脅かしそうな国を、地域別で記してみましょう。
ヨーロッパ……イタリア、ルーマニア、ジョージア
南アメリカ……アルゼンチン
北アメリカ……カナダ、アメリカ
アジア……日本
【ワールドカップの楽しみ方】
日本代表の試合は感情移入できるので、掛け値なしに面白いでしょう。
みなさんも眠い目をこすって日本代表の試合をご覧になると思いますが、せっかくの4年に1度のワールドカップなのですから、それだけではもったいない。
世界最高レベルの試合を観戦するとともに、その素晴らしい雰囲気を堪能してもらいたいものです。
もう既に終わりましたが、オープニング・セレモニーを見るだけでも充分に価値はあります。
ラグビー文化を伝える映像に加え、各国をリスペクトする演出、そして大会歌「World In Union」の素晴らしさ。
これを見るだけで、もう鳥肌が立ってしまいます。
日本で行われる世界スポーツ大会には、アイドル・タレントの宣伝に利用されるだけのような競技もありますが、2019年の日本でのラグビー・ワールドカップではぜひとも、このようなスポーツ文化を伝える、そして日本文化を存分にアピールした、世界に誇れるオープニング・セレモニーにしてもらいたいものです。
安威川敏樹のネターランド王国より貼り付けました。
上手に引用貼り付けができませんでした。